8月9日 長野県・木曽路――石畳に響く下駄の音と、宿場町の記憶

長野県・木曽路
日本紀行
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はじめに:旅は、風景よりも“空気”を記憶する

木曽谷の山間に連なる「木曽路」は、かつて江戸と京都を結ぶ中山道の重要な街道でした。
現在も残る妻籠宿(つまごじゅく)や馬籠宿(まごめじゅく)は、電線すら地中に埋められた、時代が止まったかのような町並み。

真夏の午後、石畳の坂道を下駄で歩くと、
足元から響く音が“記憶の中の日本”を呼び起こしてくれます


木曽路の宿場町――江戸が今も息づく風景

江戸と明治の“あわい”を歩く

木曽路は、旅人が峠を越え、川を渡りながら進んだ街道。
その中継地点として栄えた宿場町には、格子戸・なまこ壁・本陣跡といった建築が今も残されています。

とくに妻籠宿は、「売らない・貸さない・壊さない」の三原則で町並みを守り続けてきたことで知られ、
歩くだけで**“時間を逆行しているような感覚”**に包まれます。

下駄の音と、静かな午後の風

舗装されすぎていない石畳、どこか懐かしい木のにおい、そして下駄がコツコツと響く音。
夏の陽ざしは強いけれど、軒先に流れる風と、川のせせらぎがやわらかな涼をもたらしてくれます。


忘れられないのは、豪華さではなく“質素な美”

見せるよりも、隠す文化

木曽の町には、華美な飾りはありません。
でもその中には、用の美・静の美が宿っています。
瓦ひとつ、障子一枚にしても、「無駄のない美しさ」があるのです。

ひと休みする縁側の時間

茶店の軒先でいただく冷たい麦茶、
風鈴の音と、すだれ越しの景色。
そんな“間(ま)”のある時間が、この地の魅力です。


今日のひとこと:歩くことで、過去とつながる

今日は、「時間を踏みしめる」日。

木曽路を歩いていると、自分の足音が道の記憶に重なっていくような感覚になります。
今、自分が立っているこの道も、かつて誰かが夢や不安を抱えて歩いた道。

旅とは、風景を見ることではなく、“歩いた時間”を持ち帰ることなのかもしれません。


まとめ

  • 木曽路は、中山道の宿場町文化が色濃く残る場所。
  • 石畳と格子戸が、日本の“かつて”と“今”を結ぶ静かな橋渡しとなっている。
  • 下駄の音や風の匂いといった感覚が、忘れていた日本の風景を思い出させてくれる
  • 一歩ずつ踏みしめて進むことで、過去と現在がひとつになるような旅を味わえる。
長野県・木曽路
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