
はじめに:大晦日の石段と、新しい年の灯り
香川県琴平町に鎮座する金刀比羅宮は、「さぬきこんぴらさん」と呼ばれ親しまれてきた海の守護神。
大晦日、785段の石段を登る参拝者の手には灯りが揺れ、境内には厳かな気配が漂います。年の瀬を振り返りながら登る石段の一歩一歩が、新しい年への祈りにつながっていきます。
金刀比羅宮という舞台:海と旅を守る神
海の神を祀る古社
金刀比羅宮は大物主神(おおものぬしのかみ)を主祭神とし、古来より航海や海上安全の神として篤い信仰を集めてきました。江戸時代には「一生に一度はこんぴら参り」と言われ、多くの人々が全国から訪れました。
石段の参道
御本宮へは785段、さらに奥社まで登ると1,368段。長い石段は厳かな参道そのものであり、大晦日にはその石段を登る人々の列が夜の光の帯となります。
大晦日の金刀比羅宮を歩く一日
昼――年越し準備の賑わい
門前町は正月を迎える準備で賑やか。うどん店や土産物屋の前には人だかりができ、参拝前に腹ごしらえする人も多く見られます。年の瀬の空気に包まれた参道は、活気と期待感に満ちています。
夜――石段と灯り
大晦日の夜、参拝者が石段を登る列は幻想的な光景に。提灯や手元の灯りが石段を照らし、ひとりひとりの祈りが光の粒となって連なります。途中の大門や御本宮に近づくにつれ、鐘や鈴の音が響き渡り、心を清めてくれます。
深夜――新年を迎える祈り
除夜の鐘とともに、新しい年の訪れ。御本宮で手を合わせれば、寒さの中でも心が温まり、祈りの声が夜空に溶けていきます。讃岐平野の夜景を見下ろす景色も、この瞬間ならではの美しさです。
過ごし方ガイド:登る/祈る/味わう
登る(石段参拝)
- 785段の石段は大晦日だからこそ特別な意味を持つ。
- 防寒具と歩きやすい靴を備えて、ゆっくりと登るのがおすすめです。
観る(大晦日の行事)
- 境内では除夜祭が執り行われ、厳かな雰囲気に包まれます。
- 鐘や鈴の音が響く夜の杜は、一年の締めくくりにふさわしい荘厳さ。
味わう(門前町の名物)
- 讃岐うどんはもちろん、甘酒や名物「灸まん」なども参拝前後の楽しみ。
- 年の瀬の屋台も出て、冬の夜を温めてくれます。
物語を彩る風景
大門
参道の途中にそびえる大門は、金刀比羅宮の象徴。夜の光に浮かぶ姿は壮麗で、登拝の節目となります。
御本宮からの眺望
参拝を終えて振り返れば、讃岐平野と遠く瀬戸内海まで見渡せる夜景。新しい年の幕開けにふさわしい光景です。
天候別の楽しみ方
晴れ
星空と街の夜景が輝き、参拝後の景色が格別に。
曇り
石段や境内の灯りがやわらかに広がり、幻想的な雰囲気に。
小雨
濡れた石畳が光を映し出し、幽玄な大晦日の情景に。
今日のひとこと
「一歩ごとの祈りが、新しい年を照らす」
金刀比羅宮の大晦日参拝は、歩むほどに心が澄んでいく体験です。
まとめ
- 金刀比羅宮は「一生に一度は参りたい」とされる海の神の聖地。
- 大晦日は石段を登る灯りと祈りが重なり、荘厳で幻想的な夜を描き出す。
- 門前町の味覚や夜景とともに、新年を迎える特別な一夜を堪能できる。



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