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6月29日 福井県・大野市――水と霧に包まれた天空の城と城下町
福井県・大野市にある**越前大野城(えちぜんおおのじょう)**は、朝霧に浮かぶ姿から「天空の城」としても知られる名城です。秋の雲海が有名ですが、梅雨の終わり頃にも霧が立ちこめやすく、幻想的な光景に出会えることがあります。
6月下旬、早朝の城山公園展望台からは、まだ眠る町並みの上にうっすらと霧が流れ、その中にそびえる天守がまるで空に浮かんでいるように見えます。
水の都と称される大野の町は、地下水が豊富で、あちこちに湧水のしらべが響いています。
城を見下ろしたあとは、城下町をそぞろ歩いてみましょう。石畳に雨の雫がきらめき、古い町家の軒先には打ち水が施され、水と暮らす町の静かなリズムが感じられます。
霧の中に立つ城が、過去と現在の境界をぼかしてくれる。
今日という日も、何かのはざまに立っているような、そんな“ゆらぎ”に耳を傾けてみたくなります。
今日は、「移ろいを感じる目」を持つ日。
晴れでも雨でもない、明確な輪郭のない風景の中に、あなたの感情を映してみてください。
霧がかかると、見えないものが見えてくる。
越前大野の風景が語るのは、曖昧さの中にある確かさかもしれません。

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